静岡県磐田市の掛塚では、毎年10月になると掛塚祭りが行われています。
掛塚祭りは、貴船神社の例祭として執り行われており、約650年もの歴史を誇る由緒正しきお祭りです。
お祭り期間中には、豪華絢爛な屋台が軽快なお囃子とともに町内を練り歩きます。
その美しくも迫力ある光景を一目見ようと、会場には多くの人たちが訪れます^ ^
掛塚祭りについて
掛塚祭りが行われている貴船神社は、定かではありませんが、室町時代以前に創建されたと言われています。
当初は、貴布弥神社や貴布弥明神という名前で呼ばれていましたが、明治4年(1972年)に太政官達(だじょうかんたっし)によって貴船神社へと変更されました。
※太政官達=明治維新後、太政官により公布された法令の形式
そんな貴船神社が創建されている掛塚は、江戸時代~明治中期頃まで廻船業(港から港へ物や旅行客を運ぶ海運業)として大変栄えていました。
掛塚町の発展に伴い貴船神社も栄えていき、いつしか海上海運の安全や漁業の守護神として多くの廻船業者たちから崇敬(すうけい)されるようになっていったのです。
その歴史を今に伝えているのが掛塚祭りであり、現在は、お祭りのメイン行事として海上の安全を祈願する神事などが執り行われています。
掛塚祭りの屋台
掛塚祭りに屋台が登場した時期についても諸説ありますが、江戸時代の中期頃と言われています。
天保15年(1844年)に残された「御神事記」には、すでに屋台が登場していたという記述がされており、神事として行われていた神輿渡御とともに曳き回されていたと伝えられています。
当初は、荷車屋台、曳舞台屋台、2階建て屋台でしたが、
- 浜松市の浜松まつり
- 福田六社神社(磐田市)の祭礼
- 二俣諏訪神社(浜松市)の祭礼
等で曳き出されていた屋台の影響を受けながら、段々と豪華な飾りが施されたり改良が行われるようになりました。
きっと、廻船業を中心として栄えていた掛塚は、経済面も大変豊かだったのでしょう。
屋台の周りには、金箔やきめ細やかな美しい天幕が飾られたり、江戸時代中期頃に活躍した名工「立川和四郎(たてかわわしろう)」による彫刻などが施され、とても華やかなものだったそうです。
屋台は、江戸時代末期頃~明治時代にかけて、すべてのものが1階建ての唐破風作りに変わり、現代に受け継がれています。
今では、9カ町からそれぞれ屋台が曳き出され、遠州地方でも有数の「屋台祭り」としてお祭りを盛り上げています♪
蟹町、田町、新町、大当町、横町、中町、砂町、本町、東町
掛塚祭り 2018年の日程!
◎開催日
2018年10月20日(土)宵祭り
10月21日(日)本祭り
(19日(金)は前夜祭となります)
◎開催時間
20日(土):07:00頃~21:30頃
21日(日):07:00~21:00頃
◎会場
貴船神社、掛塚地区周辺
◎アクセス
[電車とバスでお越しの場合]
JR東海道本線「浜松駅」より遠鉄バス「掛塚行き」乗車(約20分)→「掛塚」下車(徒歩約2分)→「貴船神社」
JR東海道本線「磐田駅」より遠鉄バス「掛塚行き」乗車(約30分)→「掛塚」下車(徒歩約2分)→「貴船神社」
JR東海道本線「豊田町駅」より遠鉄バス「掛塚行き」乗車(約15分)→「掛塚」下車(徒歩約2分)→「貴船神社」
[車でお越しの場合]
東名高速道路「浜松IC」より県道65号線、261号線、259号線経由(約20分)→「貴船神社」
◎駐車場
無料駐車場あり
(国道150号線沿い掛塚橋南の天竜川河川敷)
◎お問い合わせ
Tel:0538-66-2524(磐田市商工会)
◎公式サイト
「遠州掛塚 貴船神社例祭」
屋台の曳き出しは、前夜祭では夕方頃~21:00頃まで、宵祭りと本祭りでは早朝から行われます♪
ここでは、宵祭りと本祭りの主な行事日程をご紹介いたします^^
※時間や内容は予定ですので、変更になる可能性があります。
10月20日(土)宵祭り
☆屋台曳き回し
[時間] 午前中
06:00頃、お祭り開催の合図として花火は2発が上がり、07:00頃になると屋台が各町を練り歩き始めます。
午前中はあまり観客がいないため、屋台をじっくりと見ることができます^^
お昼過ぎ頃には人が増えてきますので、近い距離で見たり写真を撮りたいという方は、午前中に足を運んでみてはいかがでしょうか♪
各屋台は、13時過ぎ頃になると「五久商店前」に集まり、順番に本町通りへ進みながら貴船神社を目指していきます。
貴船神社に到着した屋台たちは一列に並ぶのですが、ここではすべての屋台を観賞することができます。
豪華な飾りや美しい彫刻など、屋台によって異なりますので、あなただけのお気に入りを見つけちゃいましょう!
☆神社曳き込み
[時間] 16:20~17:40
辺りが徐々に暗くなってくると、いよいよ宵祭りの見どころである「貴船神社への屋台曳き込み」が行われます。
曳き込みは、屋台が賑やかお囃子や掛け声とともに、露店が立ち並ぶ参道の間を通って貴船神社の本殿へと入っていくというもので、とても大きな盛り上がりを見せます。
神社曳き込みが行われる頃には、屋台に提灯の明かりが灯っていますので、その幻想的な美しさにも注目です。
ちなみに、この間に貴船神社の本殿にて「浦安の舞」の奉納や御祈祷など様々な神事が執り行われます。
☆神社解散
[時間] 19:15~
神社から1台ずつ屋台が曳き出され、それぞれの町内へと帰っていきます。
10月21日(日)本祭り
☆屋台曳き回し
[時間] 午前中
☆神社曳き込み
[時間] 09:00頃~
本祭りでは、午前中に神社曳き込みが行われ、お昼前頃にはすべての屋台が貴船神社に集結します。
☆神輿渡御出発
[時間] 11:45頃~
明治14年(1881年)に、掛塚の名工「鈴木裕次郎」が中心となって製作したお神輿が、町内を巡行します。
お神輿には貴船神社の御神体が乗っており、本町通りや国道150号線を通って蟹町に設けられている御仮屋(おかりや)まで行き、その後、貴船神社に向けて還御します。
☆神社曳き出し
[時間] 12:35~13:15頃
お神輿の後を追うように、各屋台が貴船神社より曳き出され、町内を巡行しながら御仮屋を目指します。
御仮屋までは狭い道が続きますが、その中を突き進む屋台の姿は見どころの一つです!
屋台は、お神輿が貴船神社に向けて出発した後に御仮屋から曳き出され、五久商店前を通って神社へ戻っていきます。
☆神社曳き込み
[時間] 17:00頃~
☆神社曳き出し
[時間] 19:20頃~
提灯の明かりに照らされた屋台は、各町へと戻り掛塚祭りの幕が閉じます。
詳しい日程については、のから確認することができます^^
→「掛塚祭りの詳しい日程を確認する」
掛塚祭りの注目ポイントはココ!
さて、掛塚祭りの見どころは、先にも触れた通り屋台なのですが、それだけではありません!
屋台の巡行中に鳴り響くお囃子もぜひ!注目していただきたいポイントになります。
掛塚祭りのお囃子は、大太皷、小太鼓、横笛で構成されており、屋台の中で演奏が行われています。
この掛塚屋台囃子は、南北朝時代が始まりと言われていて、深い関りを持っている人物が後醍醐天皇の皇子である「宗良親王(むねながしんのう)」です。
宗良親王は、延元3年(1338年)の9月に井伊谷(静岡県浜松市北区引佐町)に向かうため、数十艘の軍船を率いて出航したのですが、途中で暴風雨にあってしまいました。
この時に、宗良親王が乗っていた船がたどり着いた場所というのが白羽浜(静岡県浜松市南区)で、そこから目的地に向かう道中に貴船神社の祭礼に出会いました。
その際、宗良親王の随員であった「中御門中納言某」が、村人たちにお囃子を数曲伝授したのだそうです。
掛塚のお囃子は、静岡県掛川市で行われている三社祭礼囃子と並んで、昭和45年(1970年)に静岡県指定の無形民俗文化財に指定されています。
そんな歴史あるお囃子の音色を、どうぞお楽しみください^^
おまけ!
2日間に渡って掛塚祭りを盛り上げてくれる屋台・・
年に1回だけのこのお祭りの日以外は、解体された状態で石蔵に保存されているというのはご存知でしょうか?
例年、お祭りの約1週間前くらいから各町内の方たちが図面を見ながら組み立てていき、本祭りの翌日にすべて解体され、翌年まで大切に保管しています。
屋台を解体する理由は、火災による焼失を防ぐための対策と言われており、古くから風習として続いています。
イチから組み上がっていく姿や、解体されていく姿は中々お目にかかることはできません!
もし、お時間がありましたら、見学に訪れてみてはいかがでしょう♪
掛塚祭りの見所/遠州掛塚屋台祭り
貴船神社例祭「掛塚まつり」(磐田市)/静岡・浜松・伊豆情報局
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