秋になると黄色く紅葉するイチョウに実る銀杏!
匂いが臭いというイメージの強い銀杏ですが、高血圧予防や疲労回復に効果的で、身体に良い食べ物となっています。
また、銀杏の塩炒りや茶碗蒸し、炒め物など、どんな料理でも美味しくいただくことができるため、ついつい食べ過ぎてしまう方も多いのではないでしょうか。
そんなあなたに質問です!
銀杏は、食べ過ぎると身体に悪影響を及ぼす可能性があるという話を聞いたことはありませんか?
実のところ、銀杏には一部の栄養素の働きを妨げる成分が含まれており、食べ過ぎてしまうと中毒症状を起こす場合があります。
もし、あなたが
銀杏の食べ過ぎが良くないのは知っていたけど、具体的にどんな症状が出るのかな?
とか
何個以上で食べ過ぎになるのかな?
というようなことを思っているのであれば、この先へどうぞ^ ^
これから、銀杏の食べ過ぎによって引き起こる症状や気をつけるべきことなどをお伝えしていきますので、ごゆっくりとご覧ください。
銀杏の食べ過ぎで中毒になる原因
すぐに本題へと入りたいところですが、その前に!銀杏の食べ過ぎで中毒が起きる原因についてご説明させていただきます。
銀杏による中毒症状の症例は、明治時代にはすでに存在しており、この頃は、青酸配糖体(せいさんはいとうたい)という有毒成分が中毒の原因であると考えられていました。
青酸配糖体とは、糖と青酸が結合した物質のことで、主に生の青梅に含まれています。
当時は、銀杏にも同じ成分が含まれていると言われていましたが、その化学的根拠はなく、詳細は明らかになっていませんでした。
銀杏の有毒成分が解明されたのは1985年(昭和60年)のことで、北海道医療大学の和田啓爾(わだけいじ)教授が、銀杏にメチルピリドキシン(MPN)という有毒物質が含まれていることを明らかにしました。
メチルピリドキシンは、熱に強く、ビタミンB6の分子構造にとても似ているという特徴を持っています。
そのため、銀杏を食べ過ぎたことで、大量にメチルピリドキシンが体内に入るとビタミンB6に拮抗(きっこう)します。
※拮抗=2つの要素が同時に働き、お互いにその効果を打ち消し合うこと
これによりビタミンB6の働きが阻害され、一時的にビタミンB6欠乏症が起こることで中毒症状が出るという仕組みです。
ビタミンB6は、興奮性神経伝達物質の「グルタミン酸」を抑制性神経伝達物質の「ガンマアミノ酪酸(GABA)」に変換させる働きを持っています。
ガンマアミノ酪酸に変換されると、気持ちがリラックスしたり不安を解消できたりするので、精神状態が安定していきます。
ところが、メチルピリドキシンによって変換が阻害されると、脳内にグルタミン酸がどんどんと増え神経の異常興奮を起こしてしまうのです。
これが、銀杏の食べ過ぎで中毒症状が起きる原因となっています。
銀杏の食べ過ぎによって起こる症状とは?
お待たせいたしました!本題はここからです^^
銀杏の食べ過ぎで引き起こる症状には様々なものがありますが、最も多いのが痙攣(けいれん)です。
痙攣は、
- 長時間継続して激しく起こる強直性痙攣
- 手足をガクガクと一定のリズムで伸ばしたり曲げたりする間代(かんたい)性痙攣
という2つの発作が、3~4時間ごとに繰り返し表れることがあります。
他にも、嘔吐(おうと)、めまい、不整脈、顔面蒼白、発熱、鼻血などが表れる場合もあり、年齢や銀杏の摂取量等で症状が異なるため厄介です。
中毒が発症する時間は、銀杏を食べてから1時間~12時間以内とされていますが、ほとんどの場合は6時間以内に発症し、約半数は24時間以内に回復します。
※発症する時間は人によって異なります。
が・・
重症の場合は、意識混濁や呼吸困難に陥るなど命に関わる危険性もあるので、気を付けなければいけません。
銀杏中毒の致死率は20~25%と言われており、過去には、銀杏の中毒で人が亡くなるという症例が報告されています。
日本で最初に報告されたのは1881年(明治14年)で、5歳と7歳の兄弟が銀杏による中毒で亡くなるというものでした。
その後、第2次世界大戦(1939年~1945年)の時期になると銀杏中毒の報告が急増しましたが、1960年(昭和35年)以降は徐々に減少していき、1970年(昭和45年)からは死亡例も確認されなくなりました。
近年では、
- 1歳男児:約50個の銀杏を食べてから3時間後に全身性痙攣を起こす
- 2歳女児:50~60個の銀杏を食べてから7時間後に下痢や嘔吐、全身性痙攣を起こす
- 41歳女性:60個の銀杏を食べてから4時間後に嘔吐や両腕の震え、めまいを起こす
といった症例が報告されています。
子供の場合は要注意!
ところで、銀杏の食べ過ぎで引き起こる中毒症状は、大人よりも子供の方が発症しやすいというのはご存知でしょうか?
なんと!これまでに銀杏中毒を引き起こした患者の約87%が10歳未満で、その内の約60%は3歳未満となっています。
中毒量は20個~30個が多いのですが、10個未満という報告もあり様々です。
子供が発症しやすい理由は、大人よりも子供の方が痙攣を起こしやすいことや解毒能力が弱いなどが推測されていますが、残念ながらはっきりとしたことは解っていないというのが現状です(汗;
ただ、年齢が低いほど重い症状が表れるという傾向がありますので、10歳未満のお子さんに銀杏を与えることはおすすめいたしません。
余談ですが、銀杏中毒は人間だけではなく、動物にも起こることがあります。
特に、散歩中に犬が誤って銀杏を食べてしまい中毒を引き起こすというのは、よくある話です。
過去には、ペットとして飼われていたミニブタが、お皿に乗っていた銀杏を食べたことで痙攣の症状が出たという報告もありました。
動物は人間よりも解毒能力が弱いので、ご自宅で動物を飼っていらっしゃる方はご注意ください。
銀杏は何個以上で食べ過ぎになるの?
さて、銀杏を食べ過ぎると中毒症状を引き起こすとは言っても、どれくらいの量を摂取すると食べ過ぎになるのでしょう?
日本中毒情報センターによれば、子供は7個以上、大人は40個以上が食べ過ぎのラインとなっており、これ以上食べると中毒を引き起こす危険性がぐんと高くなるとのことです。
ただし、症状が出やすいかどうか?は個人差があるため、上記の個数までは絶対に大丈夫というわけではありません。
- 何らかの薬を服用していたり病気持ちの方で、医師からビタミンB6欠乏症になる可能性があると言われている
- 偏食等で栄養バランスが崩れビタミンB6が不足している
このような場合は、数個食べただけで発症してしまうことがあるので、かなりの注意が必要です。
銀杏による中毒は、一度発症しなければ問題ないというものではなく、その時の身体の状態によって起きるものですから、たとえ健康な人であっても、個数には気を付けましょう。
古くから「銀杏は年齢の数以上は食べてはいけない」という言い伝えがありますが、1日に食べる量は、10歳~15歳は5個以下、成人の方であれば10個くらいまでにした方が安心かな?と個人的には思います^^
そうそう!
銀杏は、1度にたくさん食べた時だけでなく、少しの量を毎日継続して食べている場合も中毒症状を引き起こしやすくなっています。
毎日ではなく、数日おきに食べることが中毒を起こさないための予防にも繋がりますので、心掛けてみてはいかがでしょうか♪
最後に、銀杏中毒が起きてしまった場合についてお伝えいたします。
銀杏中毒は自分で治すことはできず、素人の判断で対処しようとすると大きな危険を伴います。
なので、少しでも身体に異変を感じた場合は、すぐに病院へ行くようにしてください。
ただ、銀杏中毒は医師であっても判断するのが難しいと言われているものですから、受診した際には、銀杏を食べた時間や個数、発症時間に症状など詳しく伝えることが重要となります。
そのようにすれば、適切な治療がすぐにできますので、もし銀杏中毒になったとしても早い段階で治すことが可能です^^
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